未熟って甘酸っぱい。
小学2年生の時、都会から転校生がきた。
容姿がとにかく整っていて、背は小さいけど萌え袖ジャージも愛おしい、バスケが上手い男の子だった。今でも好み、ドがつくタイプ。私は簡単に恋に落ちた。
私の見た目は当時、男の子みたいだったし、男の子の友達の方が多かったので、彼と友達になるのも早かった。放課後は高頻度で彼の家に遊びに行き、男子3、女子1の小学生だから許される環境でゲームなどで遊んでいた。
しかし学年は上がり、残酷なクラス替えですぐ距離ができてしまった。何となく遊ぶ事もなくなり、下校班の班長として先頭に並んでる時、真横に並んで居たから、なんとかちょっかいをかけていたけど、多分鬱陶しがられていた。
学年が上がって、女子とも遊ぶようになった私は、恋バナでついに「好きな人は誰か」と聞かれ、彼の名前をあげてしまった。関係値の浅い友達もいたから、今なら絶対言わないんだけど、当時は純粋に誰にも言わないって言葉を信じて打ち明けてしまった。それゆえ、事件が発生する。
関係値の浅い方の子が突然、急激に彼との距離を詰め始めたのだ。
他の友達が、その子と私の好きな人のどちらとも同じクラスだったため、逐一情報を教えてくれた。
私には応援する!と言っていたのにな。裏では、私に絶対言わないで欲しいんだけど彼を好きになったんだと言っていたらしい。クラスが違っても休み時間に話しかけたりして、健気に頑張っている私より、その子との方が彼は楽しそうだったみたいだ。結局その2人は両思いになってしまって、私の恋は儚く散った。それでも私は小学校を卒業して、彼が親の都合でタイに行くまで片思いしたままだったし、中学になっても時たま思い出していた。タイから帰ってくる時はLINEしてとLINEで伝えたんだけど、風の噂で帰ってきたと聞いてからも、1回も連絡が来ることは無かった。
タイに行く前の日は家の近くまで行ったんだけど、勇気が出なくて帰ってきてしまった。一生懸命すぎて小学生ながらに恥ずかしかった。未熟な私にはとても耐え難い、甘酸っぱい味だった。